送信電力をどのようにアンテナにのせていくのか、どのように結合するのか、取り出せる効率は?シミュレーションです。LTSpiceを使ってみます。2009.1.11
トランジスタ技術1999年10月号、p.271に小電力無線モジュール(FSK変調,送信電力最大10mW,送信周波数429.25〜429.7375MHz、RFトランジスタは2SC4226)の回路図がありました。ただし使用しているトランジスタ2SC4703が違いまので特性が異なると思いますが、全体的な動きを理解できるかと思います。
・LTspiceへデバイスの追加
使用トランジスタ2SC4703のspiceモデルを追加します。こちらのサイトに追加方法が紹介されていました。感謝します。
・パワーアンプの動作(回路図)
元の回路はダイオードスイッチ1ss312が送信アンプの後に入ってました。この辺の関係で特性が変わってると思います。
・パワーアンプ 過渡特性
sin波を入力してみました。R1がアンテナです。R5(青色)は電源V2の電流です。
・パワーアンプ 送信電力
赤色はR1アンテナの電力、青色は電源V2の電力。効率は30%程と考えられます。
・パワーアンプ 周波数特性
ピークの位置が400MHzから離れたところにあります。ちょっと残念。600MHz付近がピークです。
・FSKの信号を入れた回路です。MSK信号(変調指数0.5のFSK信号です)にすればよいのですが、波形をみて直観的に変化がわかるように、周波数・変調指数は無視して、回路の応答をみます。
・応答波形です。 FSK周波数は429.25MHz(スペース)と500MHz(マーク)です。実際にこんなに離れた周波数を使うことはないと思いますが、挙動を見るために行ったものです。青色はパワーアンプ入力(modulator出力)、緑はパワーアンプ出力(フィルター後)です。赤色はマーク信号とスペース信号(モールス信号のようなドット信号をONのところをマーク,OFFのところをスペースと呼んでいる)
マークの振幅が大きくなっているのは、回路の周波数特性の影響です。
・ 最終出力(パワーアンプ フィルター後出力)のFFTです。400MHz〜500MHzの間に2本のスペクトラムが見えます。429.25MHz(スペース)と500MHz(マーク)です。
参考文献(3)にMAXIM社製ASKやFSKのトランスミッタがあります。免許不要の工業/科学/医療用(ISM)帯域(300MHz〜450MHz)で機能するよう設計されているようです。スイッチモードアンプのようで電力効率がよさそうです。80%以上の効率が得られています。