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はじめに通信システム特性の用語を少々整理しながら、無線の学習です、間違っている場合もありそうです、お許しを。2008年6月2日(書き始め)

1、PAR(CFR)

通信信号のピーク対平均電力比(PAR)
波高率低減Crest factor reduction (CFR)

2、ACPR

隣接チャネル漏洩電力比(ACPR:Adjacent Channel leakage Power Ratio)
Adjacent Channel Leakage Ratio (ACLR)

3、ACP

隣接チャネル漏洩電力Adjacent Channel Power(ACP)

4、EVM

エラーベクトル振幅(EVM)

5、CCDF/CDF

CCDF(complementary cumulativedistribution function):相補累積分布関数
参考文献によれば使用例として・・・CCDF とは,信号のピークアベレージ比を解釈するための統計的な方法であり,CCDF が大きいとPA(Power Amplifier)のひずみ特性が劣化しやすくなるため,ACPR(隣接チャンネル漏えい電力)などといった規格に対してマージンが少なくなる。・・・と記されている

CDF(Cumulative Distribution Function):累積分布関数−確率変数がある値以下の値を取る確率を表わす。参考文献によれば・・確率変数Xがx以下の値をとる確率を確率変数Xの分布関数という。CDFという略称で呼ばれることも多い。 ・・と記されている。

6、PDF

PDF(probability density function, pdf):確率密度関数
参考文献によれば・・分布関数F(x)を微分したもの。すなわち「f(x) = dF(x)/dx」を密度関数という・・と記されている。

7、リターン・ロス/VSWR(電圧定在波比)

「入射波と反射波が重なってできた波(これを定在波という)の最大値と最小値の比」
RFパワーディテクタIC MAX2016ではリターンロス/VSWRの測定ができる。

8、RSSI

RSSI(Received Signal Strength Indication, Received Signal Strength Indicator ):受信信号強度

9、ACIR

ACIR(Adjacent Channel Interference Ratio),隣接チャネル干渉。隣接するキャリアから漏れて干渉が存在すると、1キャリアあたりの容量が低下する。
参考文献FOMAの無線ネットワーク設計概要

10、パワーアンプ、アンテナ結合回路

送信電力をどのようにアンテナにのせていくのか、どのように結合するのか、取り出せる効率は?シミュレーションです。LTSpiceを使ってみます。2009.1.11
トランジスタ技術1999年10月号、p.271に小電力無線モジュール(FSK変調,送信電力最大10mW,送信周波数429.25〜429.7375MHz、RFトランジスタは2SC4226)の回路図がありました。ただし使用しているトランジスタ2SC4703が違いまので特性が異なると思いますが、全体的な動きを理解できるかと思います。
・LTspiceへデバイスの追加
使用トランジスタ2SC4703のspiceモデルを追加します。こちらのサイトに追加方法が紹介されていました。感謝します。

・パワーアンプの動作(回路図)
元の回路はダイオードスイッチ1ss312が送信アンプの後に入ってました。この辺の関係で特性が変わってると思います。
パワーアンプ

・パワーアンプ 過渡特性
sin波を入力してみました。R1がアンテナです。R5(青色)は電源V2の電流です。
パワーアンプ

・パワーアンプ 送信電力
赤色はR1アンテナの電力、青色は電源V2の電力。効率は30%程と考えられます。
パワーアンプ

・パワーアンプ 周波数特性
ピークの位置が400MHzから離れたところにあります。ちょっと残念。600MHz付近がピークです。
パワーアンプ

・FSKの信号を入れた回路です。MSK信号(変調指数0.5のFSK信号です)にすればよいのですが、波形をみて直観的に変化がわかるように、周波数・変調指数は無視して、回路の応答をみます。
パワーアンプ

・応答波形です。 FSK周波数は429.25MHz(スペース)と500MHz(マーク)です。実際にこんなに離れた周波数を使うことはないと思いますが、挙動を見るために行ったものです。青色はパワーアンプ入力(modulator出力)、緑はパワーアンプ出力(フィルター後)です。赤色はマーク信号とスペース信号(モールス信号のようなドット信号をONのところをマーク,OFFのところをスペースと呼んでいる)
マークの振幅が大きくなっているのは、回路の周波数特性の影響です。
パワーアンプ

・ 最終出力(パワーアンプ フィルター後出力)のFFTです。400MHz〜500MHzの間に2本のスペクトラムが見えます。429.25MHz(スペース)と500MHz(マーク)です。
パワーアンプ

11、市販のトランスミッタ、パワーアンプ

参考文献(3)にMAXIM社製ASKやFSKのトランスミッタがあります。免許不要の工業/科学/医療用(ISM)帯域(300MHz〜450MHz)で機能するよう設計されているようです。スイッチモードアンプのようで電力効率がよさそうです。80%以上の効率が得られています。

参考文献
(1)トランジスタ技術1999年10月号
(2)堤坂秀樹、大庭秀雄「テキストブック無線通信機器」日本理工出版会 1991年
(3)
スイッチングモード トランスミッタ